まずは、ラテン語の発音について。
ラテン語は、ネイティブスピーカーのいない死語である。そのため、発音の仕方は一概に「これ」と言えるものがないのが現状である。とりあえず、合唱の世界で広く行われている読み方は、「教会式」と呼ばれる方式である。ここでは、その「教会式」について触れようと思う。また、アクセントの位置の法則を決めるのには、昔の発音に基づいた「古典式」と呼ばれる方式での発音が便利であるので、こちらについても軽く触れてみる。
a | [a]。 | |
---|---|---|
ae | [e]。 | |
b | [b]。 | |
c | [e]、[i]と発音する母音の前では[tʃ]。 それ以外では[k]。 | |
ch | [k]。 | |
d | [d]。 | |
e | [e]。 | |
f | [f]。 | |
g | [e]、[i]と発音する母音の前では[dʒ]。 それ以外では[g]。 | |
gn | [ɲ]。 | |
h | 原則として発音しない。 例外として、mihi、nihilの2語では[k]と発音する。 | |
i | [i]。 ただし、「j」の代わりに使われることがある。こちらは「j」を参照。 | |
j | [j]。 | |
k | [k]。 | |
l | [l]。 | |
m | [m]。 | |
n | [g]、[k]と発音する子音の前では[ŋ]。 それ以外では[n]。 | |
o | [o]。 | |
oe | [e]。 | |
p | [p]。 | |
ph | [f]。 | |
q | [k]。 | |
r | [r]。 | |
rh | [r]。 | |
s | 母音の間では[z]。 それ以外では[s]。 | |
sc | [e]、[i]と発音する母音の前では[ʃ]。 それ以外では[sk]。 | |
t | i+母音が後に続き、[s]、[t]と発音する子音が前に来ない場合は[ts]。 それ以外では[t]。 | |
th | [t]。 | |
u | (ng、q、s)+u+母音の組み合わせでは[w]。 それ以外では[u]。 ただし、「v」の代わりに使われることがある。こちらは「v」を参照。 | |
v | [v]。 ただし、「u」の代わりに使われることがある。こちらは「u」を参照。 | |
x | 母音の間では[gz]。 それ以外では[ks]。 | |
xc | [e]、[i]と発音する母音の前では[kʃ]。 それ以外では[ksk]。 | |
y | [i]。 | |
z | [dz]。 |
なお、同じ子音が続いて出てくる場合は、英語等と違って子音を長く発音する。
違いはいろいろあるけれど、アクセントの位置の法則に必要な部分をかいつまんで、大雑把に挙げてみる。
教会式においては、母音の発音に長短の区別は無いが、古典式では、母音が長母音と短母音に分かれる。以下、長母音は「ā」のようにマクロンをつけて区別する。
教会式で[e]と発音されるae、oeは、古典式では二重母音[ai]、[oi]と発音される。
教会式では組み合わせで特別な発音をするgn、sc、xcは、古典式では組み合わせず別々に発音される。一方、ch、ph、rh、thは古典式でも組み合わさった発音をする。
古典式では、子音hは[h]と発音する。
これから、古典式の発音におけるアクセントの位置の法則を説明する。アクセントの位置は教会式でも変化しない。
1音節の語では、アクセントはその唯一の音節にかかる。
2音節の語では、アクセントは先頭の音節にかかる。
3音節以上の語では、アクセントは最後から2番目の音節か、最後から3番目の音節にかかる。
接尾辞-ne(〜か?)、-que(英語のand)、-ve(英語のor)を持つ語の場合、アクセントは最後から2番目の音節にかかる。
それ以外の場合、1. 最後から2番目の音節の核の母音が長母音または二重母音、2. 最後の音節の核の母音と最後から2番目の音節の核の母音の間に子音が2つ以上※、のどちらかを満たす場合、アクセントは最後から2番目の音節にかかり、そうでなければ、アクセントは最後から3番目の音節にかかる。
※子音の数のカウントの仕方はやや特殊で、(b、c、ch、d、g、p、ph、t、th)+(l、r、rh)の組み合わせは子音1つとしてカウント、(ng、q、s)+uのuは直前の子音と一緒に子音1つとしてカウント、xは子音2つとしてカウントする。
ラテン語の教会式の発音と、アクセントの位置の法則を学んだ。
次の単語の発音とアクセントの位置を答えなさい。解答は、問題の後ろの黒い部分をドラッグすれば出てくる。