納豆天国風ラテン語入門講座2: 01 発音

まずは、ラテン語の発音について。

ラテン語は、ネイティブスピーカーのいない死語である。そのため、発音の仕方は一概に「これ」と言えるものがないのが現状である。とりあえず、合唱の世界で広く行われている読み方は、「教会式」と呼ばれる方式である。ここでは、その「教会式」について触れようと思う。また、アクセントの位置の法則を決めるのには、昔の発音に基づいた「古典式」と呼ばれる方式での発音が便利であるので、こちらについても軽く触れてみる。

教会式ラテン語の発音

a[a]。
ae[e]。
b[b]。
c[e]、[i]と発音する母音の前では[tʃ]。
それ以外では[k]。
ch[k]。
d[d]。
e[e]。
f[f]。
g[e]、[i]と発音する母音の前では[dʒ]。
それ以外では[g]。
gn[ɲ]。
h原則として発音しない。
例外として、mihi、nihilの2語では[k]と発音する。
i[i]。
ただし、「j」の代わりに使われることがある。こちらは「j」を参照。
j[j]。
k[k]。
l[l]。
m[m]。
n[g]、[k]と発音する子音の前では[ŋ]。
それ以外では[n]。
o[o]。
oe[e]。
p[p]。
ph[f]。
q[k]。
r[r]。
rh[r]。
s母音の間では[z]。
それ以外では[s]。
sc[e]、[i]と発音する母音の前では[ʃ]。
それ以外では[sk]。
ti+母音が後に続き、[s]、[t]と発音する子音が前に来ない場合は[ts]。
それ以外では[t]。
th[t]。
u(ng、q、s)+u+母音の組み合わせでは[w]。
それ以外では[u]。
ただし、「v」の代わりに使われることがある。こちらは「v」を参照。
v[v]。
ただし、「u」の代わりに使われることがある。こちらは「u」を参照。
x母音の間では[gz]。
それ以外では[ks]。
xc[e]、[i]と発音する母音の前では[kʃ]。
それ以外では[ksk]。
y[i]。
z[dz]。

なお、同じ子音が続いて出てくる場合は、英語等と違って子音を長く発音する。

教会式と古典式の違い

違いはいろいろあるけれど、アクセントの位置の法則に必要な部分をかいつまんで、大雑把に挙げてみる。

母音の長短の区別

教会式においては、母音の発音に長短の区別は無いが、古典式では、母音が長母音と短母音に分かれる。以下、長母音は「ā」のようにマクロンをつけて区別する。

二重母音の発音

教会式で[e]と発音されるae、oeは、古典式では二重母音[ai]、[oi]と発音される。

組み合わせ子音の発音

教会式では組み合わせで特別な発音をするgn、sc、xcは、古典式では組み合わせず別々に発音される。一方、ch、ph、rh、thは古典式でも組み合わさった発音をする。

子音hの発音

古典式では、子音hは[h]と発音する。

アクセントの位置の法則

これから、古典式の発音におけるアクセントの位置の法則を説明する。アクセントの位置は教会式でも変化しない。

1音節の語

1音節の語では、アクセントはその唯一の音節にかかる。

2音節の語

2音節の語では、アクセントは先頭の音節にかかる。

3音節以上の語

3音節以上の語では、アクセントは最後から2番目の音節か、最後から3番目の音節にかかる。

接尾辞-ne(〜か?)、-que(英語のand)、-ve(英語のor)を持つ語の場合、アクセントは最後から2番目の音節にかかる。

それ以外の場合、1. 最後から2番目の音節の核の母音が長母音または二重母音、2. 最後の音節の核の母音と最後から2番目の音節の核の母音の間に子音が2つ以上※、のどちらかを満たす場合、アクセントは最後から2番目の音節にかかり、そうでなければ、アクセントは最後から3番目の音節にかかる。

※子音の数のカウントの仕方はやや特殊で、(b、c、ch、d、g、p、ph、t、th)+(l、r、rh)の組み合わせは子音1つとしてカウント、(ng、q、s)+uのuは直前の子音と一緒に子音1つとしてカウント、xは子音2つとしてカウントする。

おさらい

ラテン語の教会式の発音と、アクセントの位置の法則を学んだ。

練習問題

次の単語の発音とアクセントの位置を答えなさい。解答は、問題の後ろの黒い部分をドラッグすれば出てくる。

  1. fīliōque(queは接尾辞)[filiˈokwe]
  2. excelsīs[ekˈʃelsis]
  3. caelī[ˈtʃeli]
  4. Jūdaeīs[juˈdeis]
  5. tenebrae[ˈtenebre]

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