納豆天国風ラテン語入門講座2: 07 人称代名詞と指示代名詞「is」

この章では、ラテン語の一人称・二人称・三人称の代名詞について学んでいこう。

人称代名詞

ラテン語にも人称代名詞は存在する。例えば、一人称の人称代名詞は、

単数複数
主格/呼格egonōs
属格meīnostrī/nostrum
与格mihinōbīs
対格nōs
奪格nōbīs

のようになる。同様に、二人称では

単数複数
主格/呼格vōs
属格tuīvestrī/vestrum
与格tibivōbīs
対格vōs
奪格vōbīs

となる。三人称を表す人称代名詞は

単数/複数
属格suī
与格sibi
対格
奪格

となるが、後述するように三人称の人称代名詞は特殊な用途にしか使われない。

人称代名詞の用法

一人称と二人称においては、日本語や英語で代名詞を使うようなところに前述の人称代名詞を使っていける。

ただし、人称代名詞を使う上で、属格の使い方は少し注意が必要だ。所有の意味を示すときは、人称代名詞の属格ではなく、形容詞「meus, -a, -um」(一人称単数)、「noster, -tra, -trum」(一人称複数)、「tuus, -a, -um」(二人称単数)、「vester, -tra, -trum」(二人称複数)、「suus, -a, -um」(三人称単数/複数)を使う。では、人称代名詞の属格はどういう場合に使うのか。例えば、属格には目的語を表す用法があったり、全体の一部分であることを表す用法があったりする。このような場合には、人称代名詞の属格を使う。なお、目的語的属格ではnostriやvestriを、部分の属格ではnostrumやvestrumを使う。

amor vestri 汝らへの
multi nostrum 我らの多く

三人称の人称代名詞は、再帰を表す場合に限って使われる。再帰とは、主語と同じものを表すことである。一人称や二人称の人称代名詞も再帰を表すのに使われ、英語の「〜self」のように、再帰を表す特別な代名詞があるわけではないので注意が必要である。所有を表す形容詞も、同様に再帰を表す用法を持つ。

特別な場合として、人称代名詞に前置詞cumが付くときは、cumを接尾辞的に使って「mecum」、「nobiscum」、「tecum」、「vobiscum」、「secum」となる。

指示代名詞「is」

先ほど、三人称の人称代名詞は再帰を表す用法しか持たないと述べたが、それ以外の場合に人称代名詞に代わって使われるのが指示代名詞の「is」である。

男性単数女性単数中性単数男性複数女性複数中性複数
主格/呼格iseaideaeea
属格ējuseōrumeārumeōrum
与格eīs
対格eumeamideōseāsea
奪格eīs

この指示代名詞は、名詞的に使って「彼」、「彼女」、「(前に述べられたという意味での)それ」と言う意味を表す他に、形容詞的に使って「(前に述べられたという意味での)その」という意味を表す。なお、「(あなたが持っているという意味での)それ、その」という意味を持つ指示代名詞は「iste」であるので注意が必要である。この指示代名詞の属格は所有の意味にも使われる。

おさらい

ラテン語の人称代名詞と指示代名詞「is」について学んだ。

練習問題

次のラテン語を日本語に翻訳しなさい。解答は、問題の後ろの黒い部分をドラッグすれば出てくる。

  1. Magister nobis fabulam seam narrat.先生は我らに自身の物語を語る。
  2. Dominus tecum est.主は汝と共に在り。
  3. Ea filia mea est.彼女は私の娘なり。
  4. Is vir filius meus est.その男は私の息子なり。
  5. Dominus ejus me videt.彼の主人は我を見る。

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