この章では、ラテン語の一人称・二人称・三人称の代名詞について学んでいこう。
ラテン語にも人称代名詞は存在する。例えば、一人称の人称代名詞は、
単数 | 複数 | |
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主格/呼格 | ego | nōs |
属格 | meī | nostrī/nostrum |
与格 | mihi | nōbīs |
対格 | mē | nōs |
奪格 | mē | nōbīs |
のようになる。同様に、二人称では
単数 | 複数 | |
---|---|---|
主格/呼格 | tū | vōs |
属格 | tuī | vestrī/vestrum |
与格 | tibi | vōbīs |
対格 | tē | vōs |
奪格 | tē | vōbīs |
となる。三人称を表す人称代名詞は
単数/複数 | |
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属格 | suī |
与格 | sibi |
対格 | sē |
奪格 | sē |
となるが、後述するように三人称の人称代名詞は特殊な用途にしか使われない。
一人称と二人称においては、日本語や英語で代名詞を使うようなところに前述の人称代名詞を使っていける。
ただし、人称代名詞を使う上で、属格の使い方は少し注意が必要だ。所有の意味を示すときは、人称代名詞の属格ではなく、形容詞「meus, -a, -um」(一人称単数)、「noster, -tra, -trum」(一人称複数)、「tuus, -a, -um」(二人称単数)、「vester, -tra, -trum」(二人称複数)、「suus, -a, -um」(三人称単数/複数)を使う。では、人称代名詞の属格はどういう場合に使うのか。例えば、属格には目的語を表す用法があったり、全体の一部分であることを表す用法があったりする。このような場合には、人称代名詞の属格を使う。なお、目的語的属格ではnostriやvestriを、部分の属格ではnostrumやvestrumを使う。
amor vestri 汝らへの愛
multi nostrum 我らの多く
三人称の人称代名詞は、再帰を表す場合に限って使われる。再帰とは、主語と同じものを表すことである。一人称や二人称の人称代名詞も再帰を表すのに使われ、英語の「〜self」のように、再帰を表す特別な代名詞があるわけではないので注意が必要である。所有を表す形容詞も、同様に再帰を表す用法を持つ。
特別な場合として、人称代名詞に前置詞cumが付くときは、cumを接尾辞的に使って「mecum」、「nobiscum」、「tecum」、「vobiscum」、「secum」となる。
先ほど、三人称の人称代名詞は再帰を表す用法しか持たないと述べたが、それ以外の場合に人称代名詞に代わって使われるのが指示代名詞の「is」である。
男性単数 | 女性単数 | 中性単数 | 男性複数 | 女性複数 | 中性複数 | |
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主格/呼格 | is | ea | id | eī | eae | ea |
属格 | ējus | eōrum | eārum | eōrum | ||
与格 | eī | eīs | ||||
対格 | eum | eam | id | eōs | eās | ea |
奪格 | eō | eā | eō | eīs |
この指示代名詞は、名詞的に使って「彼」、「彼女」、「(前に述べられたという意味での)それ」と言う意味を表す他に、形容詞的に使って「(前に述べられたという意味での)その」という意味を表す。なお、「(あなたが持っているという意味での)それ、その」という意味を持つ指示代名詞は「iste」であるので注意が必要である。この指示代名詞の属格は所有の意味にも使われる。
ラテン語の人称代名詞と指示代名詞「is」について学んだ。
次のラテン語を日本語に翻訳しなさい。解答は、問題の後ろの黒い部分をドラッグすれば出てくる。