納豆天国風ラテン語入門講座2: 10 動詞の完了形

この章では、ラテン語の動詞の完了形について学んでいこう。

現在完了形

ラテン語の動詞の現在完了形は、主に過去の一回の行為を表すのに使われる。その他の用法としては、英語の現在完了形「have been」が「行ったことがある」を表すように、過去に行った行為の結果を表すのにも使われる。

ここでは、直説法能動態現在完了の活用形について見ていこう。活用のベースになるのは「直説法能動態一人称単数現在完了」の活用形。今まで動詞の活用で使ってきた「第何活用」といった分類はなくて、活用自体は1種類なので、覚える負担は少ないはずだ。例として、sum動詞を挙げる。

一人称単数fuī
二人称単数fuistī
三人称単数fuit
一人称複数fuimus
二人称複数fuistis
三人称複数fuērunt
不定法fuisse

さて、辞書を引く上では、現在完了形の語幹から現在形がわからなければいけないのだが、現在完了形の作られ方には、原則的には何種類かのパターンがある。

現在形の語幹がそのまま現在完了形の語幹になるパターン
dēscendō→dēscendī 降る→降りたり
第3活用の動詞の一部がこのパターンをとる。
現在形に「v」をつけたものが現在完了形の語幹になるパターン
negō→negāvī 断る→断りたり
なお、このパターンにおいては、「v」が脱落する場合がある。
petō→petīvī→petiī 求む→求めたり
第1活用、第4活用の動詞に多いパターンで、これらの大部分の動詞がこのパターンをとる。
現在形に「u」をつけたものが現在完了形の語幹になるパターン
appāreō→appāreuī 現る→現れたり
第2活用の動詞に多く、第2活用のうちの多くの動詞がこのパターンをとる。
現在形の語幹の短母音を長母音に変えたものが現在完了形の語幹になるパターン
videō→vīdī 見る→見たり
同じ母音が短母音から長母音になる場合が多いが、異なる母音に変化することもある。
capiō→cēpī 取る→取りたり
第3活用の動詞に多いパターンである。
現在形の先頭の子音を重ねたものが現在完了形の語幹になるパターン
変化に伴って、母音が変化する場合がある。
caedō→cecīdī 殺す→殺したり
第3活用の動詞に多い。
現在形の語幹に「s」をつけたものが現在完了形の語幹になるパターン
第3曲用の主格と同じような子音の変化を起こすので注意。
vīvō→vīxī 生く→生きたり
第3活用の動詞に多い。

ただし、すべての現在完了形がこのパターンのいずれかに属するわけではないので、注意が必要である。

過去完了形と未来完了形

ラテン語の動詞の過去完了形と未来完了形、とりあえずまずは活用形を見てもらいたい。

過去完了形未来完了形
一人称単数fueramfuerō
二人称単数fuerāsfueris
三人称単数fueratfuerit
一人称複数fuerāmusfuerimus
二人称複数fuerātisfueritis
三人称複数fuerantfuerint

語幹は現在完了形と同じなのだけれど、どこかで見たような活用語尾。実は、三人称複数未来完了以外は、sum動詞の過去形と未来形と同じ活用語尾なのだ。

用法については、過去完了は過去の出来事に対するさらに過去の出来事、未来完了は未来の出来事に対する過去の出来事を表すのに使う。

おさらい

ラテン語の動詞の完了形について学んだ。

練習問題

次のラテン語を日本語に翻訳しなさい。解答は、問題の後ろの黒い部分をドラッグすれば出てくる。

  1. Dormiistis.(<眠る dormiō, -īre, -iī, -ītum)汝らは眠りたり。
  2. Dominus de(<〜から:奪格) caelis(<天 caelum -ī n.) descendit.主は天より降りたり。
  3. Vixisse bonum est.生きたることは良し。
  4. Eum judicavi(<裁く jūdicō, -āre, -āvī, -ātum), nam(<なぜなら) is filium suum ceciderat.我は彼を裁いたり、なぜなら彼は自分の息子を殺したれば。
  5. Si(<もし) laboraverint, dominus vobis salarium(<塩 salarium, -ī) donabit.もし汝らが働きたらば、主人は汝らに塩を贈らむ。

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