この章では、第4曲用名詞と第5曲用名詞について学んでいこう。
まずは、「第4曲用」と呼ばれる曲用である。曲用語尾が「u」を中心に変化するので、「U型曲用」とも呼ばれる曲用である。第4曲用をするのは名詞だけで、形容詞はこの曲用をするものは無い。
この曲用も男性・女性名詞と中性名詞とで異なった曲用をする。男性・女性名詞の例として「spīritus」(m. 霊)、中性名詞の例として「cornū」(n. 角)を挙げる。
男性・女性単数 | 中性単数 | 男性・女性複数 | 中性複数 | |
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主格/呼格 | spīritus | cornū | spīritūs | cornua |
属格 | spīritūs | cornūs | spīrituum | cornuum |
与格 | spīrituī | cornuī | spīritibus | cornibus |
対格 | spīritum | cornū | spīritūs | cornua |
奪格 | spīritū | cornū | spīritibus | cornibus |
第4曲用に属する名詞は男性名詞が多く、女性・中性名詞は少ない。
名詞の規則曲用は全部で5種類であり、これから挙げるのは最後の「第5曲用」である。曲用語尾が「e」を中心に変化し、「E型曲用」とも呼ばれる。第5曲用をするのも名詞だけで、第5曲用形容詞というものは存在しない。
第5曲用をする中性名詞は存在しない代わりに、語幹が「i」で終わるか否かで曲用形が微妙に変わってくる。語幹が「i」で終わる名詞の例として「diēs」(m.但し単数形ではf.も 日)、「i」で終わらない名詞の例として「rēs」(f. 事)を挙げる。
単数 | 複数 | |||
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主格/呼格 | diēs | rēs | diēs | rēs |
属格 | diēī | reī | diērum | rērum |
与格 | diēī | reī | diēbus | rēbus |
対格 | diem | rem | diēs | rēs |
奪格 | diē | rē | diēbus | rēbus |
第5曲用をする名詞は女性名詞が多く、男性名詞は少ない。
第3曲用と第5曲用の中間の曲用をする、不規則名詞「requies」(f. 安息)がある。以下に曲用形を挙げるが、単数与格と複数形は文献に現れないので不明である。
単数 | |
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主格/呼格 | requies |
属格 | requiētis |
対格 | requiem |
奪格 | requiē |
ラテン語の第4曲用と第5曲用の名詞について学んだ。
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