納豆天国風ラテン語入門講座2: 09 第3曲用名詞

この章では、第3曲用名詞について学んでいこう。

第3曲用について

名詞や形容詞の曲用の種類の一つに、「第3曲用」と呼ばれるものがある。一言に第3曲用といっても、細かい部分で幅広いバリエーションがある。それでも、単数属格の曲用語尾が「is」である点では共通している。

第3曲用は、「子音型曲用」と呼ばれる曲用と、「I型曲用」と呼ばれる曲用に分けることができる。I型曲用をする名詞はさらに細かく分けられ、「純粋I型曲用名詞」と「混合I型曲用名詞」に分けられる。

子音型曲用

第3曲用のバリエーションの一つの子音型曲用であるが、I型曲用との差は複数属格に典型的に現れ、複数属格の曲用語尾が「um」であることがこの曲用の特徴である。

この曲用も、男性・女性名詞と中性名詞とで異なった曲用を示す。男性・女性名詞の例として「ōrātiō」(f. 祈り)、中性名詞の例として「nōmen」(n. 名前)を挙げる。

男性・女性単数中性単数男性・女性複数中性複数
主格/呼格ōrātiōnōmenōrātiōnēsnōmina
属格ōrātiōnisnōminisōrātiōnumnōminum
与格ōrātiōnīnōminīōrātiōnibusnōminibus
対格ōrātiōnemnōmenōrātiōnēsnōmina
奪格ōrātiōnenōmineōrātiōnibusnōminibus

曲用形を見てわかるように、単数主格は語幹と異なった形をとる。それでも、語幹から単数主格の形はある程度推測できる。まず、語幹の最後に「s」をつけてみる。その後、単語の最後に対して以下の処理を行う。

なお、この処理に伴って最後の母音が変化することがある。また、この法則に当てはまらない単語もあるので、注意が必要である。

第3曲用の名詞のうち、子音型曲用をとる名詞は、単数主格と単数属格の音節の数が違い、語幹末の子音が1つの名詞に多い。

純粋I型曲用

I型曲用の特徴は、複数属格の曲用語尾が「ium」で終わることである。その中でも純粋I型曲用は、混合I型曲用と比べて、単数対格の曲用語尾が「im」、単数奪格の曲用語尾が「ī」であるという特徴を持つ。

男性・女性名詞の例として「turris」(f. 塔)、中性名詞の例として「animal」(n. 動物)を挙げる。

男性・女性単数中性単数男性・女性複数中性複数
主格/呼格turrisanimalturrēsanimālia
属格turrisanimālisturriumanimālium
与格turrīanimālīturribusanimālibus
対格turrimanimalturrīsanimālia
奪格turrīanimālīturribusanimālibus

中性の純粋I型曲用名詞の単数主格を語幹から推測する方法であるが、パターンは3つである。

第3曲用の名詞のうち、純粋I型曲用をとる名詞は、男性・女性名詞では単数主格が「is」で終わる一部の名詞であり、中性名詞では単数主格が「al」、「ar」、「e」で終わる名詞である。

混合I型曲用

混合I型曲用は、子音型曲用と純粋I型曲用を混ぜたような曲用である。純粋I型曲用と比べて、単数対格の曲用語尾が「em」、単数奪格の曲用語尾が「e」である、という特徴を持つ。

男性・女性名詞の例として「mors」(f. 死)、中性名詞の例として「os」(n. 骨)を挙げる。

男性・女性単数中性単数男性・女性複数中性複数
主格/呼格morsosmortēsossa
属格mortisossismortiumossium
与格mortīossīmortibusossibus
対格mortemosmortēsossa
奪格morteossemortibusossibus

混合I型曲用名詞の語幹から単数主格を推測する方法は、子音型曲用の方法に順ずる方法や、語幹に「is」や「ēs」をつけてみる方法がある。

第3曲用の名詞のうち、混合I型曲用をとる名詞は、単数主格が「is」や「ēs」で終わる単数主格と単数属格の音節の数が同じ名詞や、語幹末に2つ以上の子音を持つ名詞に多い。

おさらい

ラテン語の第3曲用の名詞について学んだ。

練習問題

次のラテン語を日本語に翻訳しなさい。解答は、問題の後ろの黒い部分をドラッグすれば出てくる。

  1. Animalia in turrim veniunt.動物は塔に来。
  2. Mors ad regem(<王 rēx, rēgis m.) veniet.死は王のそばへ来む。
  3. Ea vox(<声 vōx, vōcis f.) orationis est.それは祈りの声なり。
  4. Judices(<判事 jūdex, -dicis m.) crucem(<十字架 crux, crucis m.) vident.判事らは十字架を見る。
  5. Pater(<父 pater, -tris m.) canibus(<犬 canis, -is m./f.) ossa donabit.(<贈る dōnō, -āre, -āvī, -ātum)父は犬に骨を贈らむ。

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