納豆天国風ラテン語入門講座2: 11 第3曲用形容詞

この章では、09章で少し触れた、第3曲用形容詞について学んでいこう。

第3曲用形容詞

第3曲用形容詞も、名詞同様に子音型曲用とI型曲用に分けられる。形容詞では、I型曲用は細かく見ると3種類に分かれるので、第3曲用名詞の曲用が3種類なのに対して、第3曲用形容詞の曲用は4種類になる。

子音型曲用

子音型曲用の形容詞は、子音型曲用の名詞と同じ曲用をする。名詞が男性・女性名詞と中性名詞とで異なった曲用をするように、男性・女性名詞を修飾する場合と中性名詞を修飾する場合とで異なった曲用をする。

ラテン語の辞書で子音型曲用の形容詞を引くと、

prīnceps, -cipis; 第1の

といったように、見出しに続いて1つ曲用形が続く。見出しの曲用形は「単数主格」と、「単数属格」(prīncipis。「-cipis」はこの省略。)である。

それでは、この「prīnceps」を例として、復習のつもりで曲用形を見ていこう。

男性・女性単数中性単数男性・女性複数中性複数
主格/呼格prīncepsprīncipēsprīncipa
属格prīncipisprīncipum
与格prīncipīprīncipibus
対格prīncipemprīncepsprīncipēsprīncipa
奪格prīncipeprīncipibus

子音型曲用をとる第3曲用形容詞は少ない。

男性単数主格が「er」で終わるI型曲用

I型曲用の形容詞の曲用の種類の1つとして、男性単数主格が「er」で終わり、語幹は「er」から「e」が抜ける場合の曲用がある。この曲用は単数主格が男性、女性、そして中性で異なるので、第1・第2曲用同様に辞書では3つの単数主格が並ぶことになる。

例として「ācer」(鋭し)を挙げる。

男性単数女性単数中性単数男性・女性複数中性複数
主格/呼格ācerācrisācreācrēsācria
属格ācrisācrium
与格ācrīācribus
対格ācremācreācrēsācria
奪格ācrīācribus

I幹のI型曲用

I型曲用の次の種類は、混合I型曲用名詞のタイプの語幹を持つ形容詞の曲用である。この曲用では男性単数主格と女性単数主格が同じ形になる。

ラテン語の辞書でこのパターンの形容詞を引くと、

perennis, -e; 永久の

といったように、見出しに続いて1つ曲用形が続く。見出しの曲用形は「男性単数主格」と、「中性単数主格」(perenne。「-e」はこの省略。)である。

それでは、この「perennis」を例として曲用形を見ていこう。

男性・女性単数中性単数男性・女性複数中性複数
主格/呼格perennisperenneperennēsperennia
属格perennisperennium
与格perennīperennibus
対格perennemperenneperennēsperennia
奪格perennīperennibus

子音幹のI型曲用

最後の曲用の種類は、子音型曲用名詞のタイプの語幹を持つ形容詞の曲用である。この曲用では全ての性の単数主格が同じ形になる。そのため、辞書には子音型曲用同様に、単数主格と単数属格が並ぶことになる。

例として「innocēns」(無害なり)を挙げる。

男性・女性単数中性単数男性・女性複数中性複数
主格/呼格innocēnsinnocentēsinnocentia
属格innocentisinnocentium
与格innocentīinnocentibus
対格innocenteminnocēnsinnocentēsinnocentia
奪格innocentīinnocentibus

おさらい

ラテン語の第3曲用の形容詞について学んだ。

練習問題

次のラテン語を日本語に翻訳しなさい。解答は、問題の後ろの黒い部分をドラッグすれば出てくる。

  1. Liberi(<子供たち līberī, -ōrum m.) innocentes in Deum credunt.無害なる子供たちは神を信ず。
  2. Principi(<長老 prīnceps, -cipis) fabulam narro.我は長老に物語を語る。
  3. Poeta(<詩人 poēta, -ae m.) ejus poematis(<詩 poēma -matis n.) difficilis(<難し difficilis, -e) tu es.その難しき詩の詩人は汝なり。
  4. Miles(<兵士 mīles, -litis m.) gladium(<剣 gladius, -ī m.) acrem habet.(<持ちている habeō, -ēre, -uī, -itum)兵士は鋭き剣を持ちている。
  5. Dominus peccatores(<罪人 peccātor, -ōris m.) igne(<火 ignis, -is m.) perenni cremabit(<焼く cremō, -āre, -āvī, -ātum).主は罪人たちを永遠の火で焼かむ。

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