納豆天国風ラテン語入門講座2: 04 第2曲用名詞

ここでは、ラテン語の第2曲用名詞について学んでいきたい。

第2曲用とは

名詞の曲用のタイプとして、「第2曲用」と呼ばれるものがある。これは、曲用語尾が「o」を中心に変化するので、「O型曲用」とも呼ばれる。

ただし、一言に「第2曲用」とまとめられる種類の曲用も、細かく見ていくといくつかのパターンに分かれる。ほとんどの曲用語尾は同じなのだが、微妙なところが違うのだ。それらを一つ一つ見ていきたい。

男性・女性名詞の第2曲用

第2曲用の名詞で最も基本的なパターンは、単数主格の語尾が「-us」の男性・女性名詞だ。このパターンの名詞のほとんどは男性名詞で、女性名詞は少ない。ちょうど第1曲用の逆のような感じだ。

例として、「dominus」(m. 主人)を挙げる。

単数複数
主格dominusdominī
呼格dominedominī
属格dominīdominōrum
与格dominōdominīs
対格dominumdominōs
奪格dominōdominīs

このパターンの特徴として、全ての曲用のうち、単数主格と単数呼格が唯一異なる、というものが挙げられる。もともと主格と呼格は、複数においては全曲用で一致し、ほとんどの曲用において単数でも一致する。つまり、呼格は主格に吸収されつつあった格なのだが、この曲用で区別されるため、独立した格として扱われているのだ。

中性名詞の第2曲用

もう1つの基本的なパターンとして、単数主格の語尾が「-um」の中性名詞がある。

例として、「osculum」(n. キス)を挙げる。

単数複数
主格/呼格osculumoscula
属格osculīosculōrum
与格osculōosculīs
対格osculumoscula
奪格osculōosculīs

第2曲用の中性名詞は、ほとんどがこのパターンなのだが、ほとんど不規則名詞と言っていいほど例外的に、単数主格の語尾が「-us」のものがある。

例として、「vīrus」(n. 毒、ウイルス)を挙げる。

単数複数
主格/呼格vīrusvīra
属格vīrīvīrōrum
与格vīrōvīrīs
対格vīrusvīra
奪格vīrōvīrīs

単数主格が「母音+r」で終わる男性名詞

第2曲用の特殊なパターンとして、単数主格が「母音+r」で終わる男性名詞がある。このパターンでは、単数主格以外の曲用形は「語幹+曲用語尾」となるので、特に難しくはないのだが、単数主格は曲用語尾を持たない。このパターンの名詞には、単数主格以外の語幹が、単数主格と同じ形になるものと、単数主格の最後のrの前の母音を落とした形になるものがある。

例として、「vir」(m. 男)を挙げる。この名詞は、単数主格以外の語幹が単数主格と同じ形になるパターンである。

単数複数
主格/呼格virvirī
属格virīvirōrum
与格virōvirīs
対格virumvirōs
奪格virōvirīs

不規則名詞「fīlius」

第2曲用の不規則名詞の1つに、「fīlius」(m. 息子)がある。単数呼格が「fīlie」ではなく、「fīlī」となる。

単数複数
主格fīliusfīliī
呼格fīlīfīliī
属格fīliīfīliōrum
与格fīliōfīliīs
対格fīliumfīliōs
奪格fīliōfīliīs

このような不規則変化は、単数主格が「-ius」で終わる人名でも一般的に起こる。例えば、「Pontius」(m.)の単数呼格は「Pontī」となる。

不規則名詞「deus」

基本的に、不規則名詞は入門レベルを超えると考え、扱わないつもりではあるのだが、先に挙げた「fīlius」同様、「deus」(m. 神)も頻出するので扱うことにする。

単数複数
主格/呼格deus
属格deīdeum
与格deōdīs
対格deumdeōs
奪格deōdīs

おさらい

ラテン語の名詞の第2曲用を学んだ。

練習問題

次のラテン語を日本語に翻訳しなさい。解答は、問題の後ろの黒い部分をドラッグすれば出てくる。

  1. Ponti, Dominus Filius(sum動詞の補語は主格) Dei est.ポンツィウスよ、主は神の子なり。
  2. Di pugnant.(<戦う pūgnō, -āre, -āvī, -ātum)神々は戦う。
  3. Magistro(<先生 magister, -trī m.) fabulam narro.我は先生に物語を語る。
  4. Vira viros caedunt.(<殺す caedō, -ere, cecīdī, caesum)ウイルスは男たちを殺す。
  5. Oppidos(<都市 oppidum, -ī n.) Aegypti(<エジプト Aegyptus -ī, f.) videmus.我々はエジプトの都市を見る。

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