ここでは、ラテン語の第2曲用名詞について学んでいきたい。
名詞の曲用のタイプとして、「第2曲用」と呼ばれるものがある。これは、曲用語尾が「o」を中心に変化するので、「O型曲用」とも呼ばれる。
ただし、一言に「第2曲用」とまとめられる種類の曲用も、細かく見ていくといくつかのパターンに分かれる。ほとんどの曲用語尾は同じなのだが、微妙なところが違うのだ。それらを一つ一つ見ていきたい。
第2曲用の名詞で最も基本的なパターンは、単数主格の語尾が「-us」の男性・女性名詞だ。このパターンの名詞のほとんどは男性名詞で、女性名詞は少ない。ちょうど第1曲用の逆のような感じだ。
例として、「dominus」(m. 主人)を挙げる。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
主格 | dominus | dominī |
呼格 | domine | dominī |
属格 | dominī | dominōrum |
与格 | dominō | dominīs |
対格 | dominum | dominōs |
奪格 | dominō | dominīs |
このパターンの特徴として、全ての曲用のうち、単数主格と単数呼格が唯一異なる、というものが挙げられる。もともと主格と呼格は、複数においては全曲用で一致し、ほとんどの曲用において単数でも一致する。つまり、呼格は主格に吸収されつつあった格なのだが、この曲用で区別されるため、独立した格として扱われているのだ。
もう1つの基本的なパターンとして、単数主格の語尾が「-um」の中性名詞がある。
例として、「osculum」(n. キス)を挙げる。
単数 | 複数 | |
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主格/呼格 | osculum | oscula |
属格 | osculī | osculōrum |
与格 | osculō | osculīs |
対格 | osculum | oscula |
奪格 | osculō | osculīs |
第2曲用の中性名詞は、ほとんどがこのパターンなのだが、ほとんど不規則名詞と言っていいほど例外的に、単数主格の語尾が「-us」のものがある。
例として、「vīrus」(n. 毒、ウイルス)を挙げる。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
主格/呼格 | vīrus | vīra |
属格 | vīrī | vīrōrum |
与格 | vīrō | vīrīs |
対格 | vīrus | vīra |
奪格 | vīrō | vīrīs |
第2曲用の特殊なパターンとして、単数主格が「母音+r」で終わる男性名詞がある。このパターンでは、単数主格以外の曲用形は「語幹+曲用語尾」となるので、特に難しくはないのだが、単数主格は曲用語尾を持たない。このパターンの名詞には、単数主格以外の語幹が、単数主格と同じ形になるものと、単数主格の最後のrの前の母音を落とした形になるものがある。
例として、「vir」(m. 男)を挙げる。この名詞は、単数主格以外の語幹が単数主格と同じ形になるパターンである。
単数 | 複数 | |
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主格/呼格 | vir | virī |
属格 | virī | virōrum |
与格 | virō | virīs |
対格 | virum | virōs |
奪格 | virō | virīs |
第2曲用の不規則名詞の1つに、「fīlius」(m. 息子)がある。単数呼格が「fīlie」ではなく、「fīlī」となる。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
主格 | fīlius | fīliī |
呼格 | fīlī | fīliī |
属格 | fīliī | fīliōrum |
与格 | fīliō | fīliīs |
対格 | fīlium | fīliōs |
奪格 | fīliō | fīliīs |
このような不規則変化は、単数主格が「-ius」で終わる人名でも一般的に起こる。例えば、「Pontius」(m.)の単数呼格は「Pontī」となる。
基本的に、不規則名詞は入門レベルを超えると考え、扱わないつもりではあるのだが、先に挙げた「fīlius」同様、「deus」(m. 神)も頻出するので扱うことにする。
単数 | 複数 | |
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主格/呼格 | deus | dī |
属格 | deī | deum |
与格 | deō | dīs |
対格 | deum | deōs |
奪格 | deō | dīs |
ラテン語の名詞の第2曲用を学んだ。
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